weekly magazine
WEEKLYマガジン 2020年2月2日号
Tモバイル株は勝者。スプリントとの合併があろうが、なかろうが。
T-Mobile Stock Is a Winner—Sprint Merger or Not
合併はある方が良いのか、ない方が良いのか。そして投資家の注目点とは。
新型コロナウイルス感染の深刻化でついにダウも733ドルの下落
The Dow Finally Took the Coronavirus Seriously and Dropped 733 Points
経済および株価への影響拡大が懸念されるものの、過去データは買い場到来を示唆
ペロトン株は売りか、買いか、議論の決着は決算発表で
Peloton’s Earnings Could Settle the Debate
空売り残高は積み上がっているが、第2四半期は好決算となる可能性あり
新型コロナウイルスは景気にも株価にも影響を及ぼさない
Recession? Correction? Coronavirus Isn’t Likely to Cause Either.
悲観論は時期尚早。米国経済の成長は続く。
読みどころ
「カバー」は米株以外の高配当銘柄に関する記事だ。シニア層を中心に確定利回りへのニーズは高い。
それは日本人に限らず世界共通の現象だ。債券で十分な利回りが確保できない以上それを配当に期待するのは自然な行動だ。
記事中、米国人投資家の「ポートフォリオにおける海外資産の割合が10%未満の投資家は83%」もあるとの調査を紹介していている。そして、S&P500指数の配当利回りが1.8%であり、FTSE100指数(英国)は4.6%、東証株価指数(TOPIX)は2.3%、ドイツDAX指数が2.9%なので、これら海外銘柄も有望な投資対象だと説く。
また、米国株式の低利回りは経営者の自社株買い選好に一因があると指摘する。2018年に米国では80兆円の自社株買いが実施されたが、他の主要海外市場は合計で15兆円程度だが、そのうち日本だけで6兆円ある。米国の突出ぶりはわかるが日本もそれなりに大きい。
その上で世界主要市場における配当銘柄を挙げている。日本株では東京海上ホールディングス<8766>で、ここ数年は株価も上昇基調だ。他には武田薬品工業<4502>。こちらは買収後のキャッシュフローの増加が増配には必要なはず。
さて、米国に投資対象がないから海外にそれを求めるには十分な調査が必要だ。利回りの高さと企業の成長性は逆相関が一般的だし配当原資の出所もチェックポイントだ。さらにあまりに高い利回りには企業の健全性を疑わずにはおれない。この点海外にインカムを求める傾向の強い日本人投資家にも参考なる。
3番の「米国株式市場」では今回の新型コロナウイルスへの反応で日本人に気づきを教えてくれる。米国市場は当初鷹揚に構えていた。実際に先週月曜の下げを好調な決算発表で帳消しにした。ただし金曜は事態の進展を踏まえ売り直した格好だ。記事では、これで割高感が少し解消される、さらに過去の事例に照らせばこの後は買場が到来すると楽観的なコメントが並ぶ。これは9番の「米国経済」後半でも同じ論調で、このあたりが日本の報道と異なる。
6番「コラム」では、新型コロナウイルス以外で、地政学的に金融市場を混乱させる5つのブラック・スワン(予想不可能ながら起きると衝撃が大)を列挙している。これらは米中関係、中国国内、さらには中東や欧州に加え、米国内の社会不安や大統領選挙に端を発するものだ。米中関係は日本人にも身近だがその他は何がどういう理由でそのリスクが顕在化すのかイメージしづらい。我々日本人投資家の課題だろう。その一方でこういう中でも株価はまさに「懸念の壁をよじ登っている」。
7番「フィーチャー」は決算発表のおさらい。米国株式は悪い決算を無視していい決算だけで相場が動く。なぜこんなに楽観的なのかと訝る日本人が多いことだろう。その答え?期待外れの決算を出し続ける会社はいずれマーケットから消え去る運命にある。つまり残っているのは基本的に良好な決算を発表する会社だけ。つまり適者生存が徹底しているからだ。
それは日本人に限らず世界共通の現象だ。債券で十分な利回りが確保できない以上それを配当に期待するのは自然な行動だ。
記事中、米国人投資家の「ポートフォリオにおける海外資産の割合が10%未満の投資家は83%」もあるとの調査を紹介していている。そして、S&P500指数の配当利回りが1.8%であり、FTSE100指数(英国)は4.6%、東証株価指数(TOPIX)は2.3%、ドイツDAX指数が2.9%なので、これら海外銘柄も有望な投資対象だと説く。
また、米国株式の低利回りは経営者の自社株買い選好に一因があると指摘する。2018年に米国では80兆円の自社株買いが実施されたが、他の主要海外市場は合計で15兆円程度だが、そのうち日本だけで6兆円ある。米国の突出ぶりはわかるが日本もそれなりに大きい。
その上で世界主要市場における配当銘柄を挙げている。日本株では東京海上ホールディングス<8766>で、ここ数年は株価も上昇基調だ。他には武田薬品工業<4502>。こちらは買収後のキャッシュフローの増加が増配には必要なはず。
さて、米国に投資対象がないから海外にそれを求めるには十分な調査が必要だ。利回りの高さと企業の成長性は逆相関が一般的だし配当原資の出所もチェックポイントだ。さらにあまりに高い利回りには企業の健全性を疑わずにはおれない。この点海外にインカムを求める傾向の強い日本人投資家にも参考なる。
3番の「米国株式市場」では今回の新型コロナウイルスへの反応で日本人に気づきを教えてくれる。米国市場は当初鷹揚に構えていた。実際に先週月曜の下げを好調な決算発表で帳消しにした。ただし金曜は事態の進展を踏まえ売り直した格好だ。記事では、これで割高感が少し解消される、さらに過去の事例に照らせばこの後は買場が到来すると楽観的なコメントが並ぶ。これは9番の「米国経済」後半でも同じ論調で、このあたりが日本の報道と異なる。
6番「コラム」では、新型コロナウイルス以外で、地政学的に金融市場を混乱させる5つのブラック・スワン(予想不可能ながら起きると衝撃が大)を列挙している。これらは米中関係、中国国内、さらには中東や欧州に加え、米国内の社会不安や大統領選挙に端を発するものだ。米中関係は日本人にも身近だがその他は何がどういう理由でそのリスクが顕在化すのかイメージしづらい。我々日本人投資家の課題だろう。その一方でこういう中でも株価はまさに「懸念の壁をよじ登っている」。
7番「フィーチャー」は決算発表のおさらい。米国株式は悪い決算を無視していい決算だけで相場が動く。なぜこんなに楽観的なのかと訝る日本人が多いことだろう。その答え?期待外れの決算を出し続ける会社はいずれマーケットから消え去る運命にある。つまり残っているのは基本的に良好な決算を発表する会社だけ。つまり適者生存が徹底しているからだ。
- 【編集人】川田 重信
- 大和證券入社後1986年から米国株式を中心に外国株式の営業活動に従事。ペインウェバー(現UBS)証券を経て2000年にエグゼトラストを設立。神戸大学経営学部卒業 米国ロチェスター大学MBA。